公害喘息訴訟和解に寄せて
以下の記事を各方面に提出したいと考えております。
久我山アレルギー患者の会 発起人 as
拝啓
2007年8月8日のテレビ朝日の報道ステーションの番組で東京大気汚染訴訟、いわゆる公害喘息の医療費補償を目的とした訴訟の和解が成立したと報じられました。
東京都民約1000万人の中で50~60万人の公害喘息患者の存在が推定されているとのことでした。この患者数は東京都の人口の5~6%に相当するので、日本における喘息の有症率にほぼ一致します。
もし、大気汚染などの公害が喘息の直接の原因であるとすれば、都内の地域によって大気汚染の程度の差はあるとしても、都内の住民の大半が喘息を経験すると思われます。
従って、都民の5~6%だけが公害喘息になるのは、その5~6%の人には特別な公害以外の直接または間接的な“喘息になり易い原因”(例えば、アレルギー)が存在する可能性が高いと思われます。
現在、日本も含めて世界中の先進国では若い人の喘息の増加が問題となっています。
1982年から2002年までの20年間に、日本における小児喘息の有症率が3.2%から6.5%と2倍以上に増えました。小児喘息の80%以上が乳幼児期に発症し、90%が6歳までに発症します。
小児喘息の90%以上はアレルギーが原因でであるアトピー型喘息で、そのアレルギーの最大の原因はダニです。イギリスで子供の喘息患者の80%はダニにアレルギーがあると報告されています。アメリカのフロリダで喘息の治療のために救急病院を訪れた子供の90%がダニにアレルギーがありました。私が1990年に東京都世田谷区の久我山病院に開設したアレルギー外来を訪れた20歳以下の喘息患者の98%はダニが原因でした。 現在、久我山病院のアレルギー外来に通院している18歳以下の喘息患者は全員(100%)ダニが原因で公害被害の認定を受けている公害喘息患者です。
言うまでもなく、大気汚染は呼吸器疾患がない健康な人にも有害ですが、喘息などの呼吸器病をもっている人には大気汚染による悪影響は健康な人に対するよりも甚大で喘息症状を悪化させることは間違いありません。日本における小児喘息の有症率と公害被害を受けて公害喘息で苦しんでいる東京都民の公害喘息の有症率が偶然にも5~6%で一致していることは、喘息の直接の原因はダニ・アレルギーで、ダニ・アレルギーによって起こっている喘息症状が大気汚染によって悪化している可能性を示唆しているとも考えられます。
その一つの証拠として、久我山病院に通院している18歳以下の公害喘息患者はは全員(100%)米国製の標準化ダニ・ワクチンによるアレルギー免疫療法(減感作療法)を受けることによって、同じ公害地域に住み続けているにも拘らず喘息症状は全く起きていません。
このような事実から推察すると、公害喘息の真の原因はダニ・アレルギーであると考えられます。ダニ・アレルギーを根本的治療法である米国製の標準化ダニ・ワクチンを使用したアレルギー免疫療法で治療すると、アレルギーに因る気管支の炎症が抑制されて気管支の過敏性が亢進した状態が改善されることは既に証明されています。気管支の過敏性が改善されれば、大気汚染が気管支を刺激しても喘息症状が起こらなくなります。
公害喘息訴訟の和解によって、向う5年間に国民や都民の税金と自動車会社の拠出金
200億円を使用して公害喘息患者の医療費の補助が行われる上に、東京都の公害指定地域に1年以上居住している喘息患者の医療費も無料にすると伺いました。
公害喘息で苦しんでいる喘息患者に医療費の補助を行うことには賛成ですが、現在、日本の喘息治療のガイドラインとされている“喘息予防・管理ガイドライン2006”では吸入ステロイド剤をはじめとした対症的薬物治療しか行われていません。対症的薬剤費を向う5年間200億円を使って補助しても、喘息の根本的治療ではありませんから5年後には、より慢性化、難治化した喘息患者の医療費に200億円以上の補助金が必要となることは疑いありません。
従って、和解金を向う5年間、より建設的に使用する最善の方法は、ダニ・アレルギーを根本的に治療するために標準化ダニ・ワクチンを使用したアレルギー免疫療法を直ちに始めることです。前記した私共の久我山病院に於ける経験から推して、この治療法によって小児喘息患者はほぼ100%治癒させることができるばかりでなく、多くの成人喘息患者の治療費の削減にもつながると思います。
欧米の先進国、特に米国では、今から約30年前の1980年代の初めに、私が米国で開業していた頃に、既にダニ・アレルギーの根本的治療用に標準化ダニ・ワクチンが製造、市販されていて広く使用されていました。
しかし日本では、ダニ・アレルギーが喘息の最大の原因であることが証明されてから
40年経ている今日でも、ダニ・アレルギーの根本的治療に絶対に必要なダニ・ワクチンは未だに製造も市販もされていせん。そこで、和解金200億円の一部を使って、米国から標準化ダニ・ワクチンを輸入してダニ・アレルギーを根本的に治療することを提案致します。それによって、多くの公害喘息患者のダニ・アレルギーを治癒させると同時に5年後までに公害喘息患者の医療費の大幅な削減が可能であると確信しています。
以上、私の提案にご高配賜りますようお願い申し上げます。
なお、私の提案の科学的根拠として、2007年6月にメディカルトリビューン社から発刊されました拙著“日本のアレルギー診療は50年おくれている”をご参考までに同封させて戴きました。
敬具
久我山病院アレルギー科部長
長屋宏
久我山病院でアレルギー治療を受けている900名を超えるアレルギー患者を代表して長屋宏医師の提案を支持いたします。当会の活動は日本にアレルギーの根本治療法であるアレルギー免疫療法(最新の減感作療法)を広めることを目標にしており、その経緯は当会のブログ( http://alergybyas.seesaa.net/)に掲載しております。
久我山アレルギー患者の会
発起人 as


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